季節ごとに変わる薬局業務の忙しさとは

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2025年03月19日

薬剤師として働く現場では、季節によって業務量や来局者数に大きな変動があることを実感する場面が多くあります。特に年末年始や花粉症シーズンなど、医療機関の動きや患者の健康状態と連動するかたちで業務が集中する時期と、比較的落ち着いて業務を見直す余裕が持てる時期が明確に分かれています。繁忙期と閑散期の特徴を理解し、それぞれに備えて対応力を身につけることは、薬剤師として安定して働き続けるうえで重要な視点です。この記事では、業務が集中する時期の特徴と、それに対応する工夫について3つの視点から解説します。

季節性のある疾患による業務集中

冬から春にかけてはインフルエンザや風邪、花粉症などの影響で処方箋枚数が急増する傾向があります。この時期は服薬指導の件数も多くなり、問い合わせ対応やOTC商品の説明なども重なって、待ち時間やスタッフの負担が大きくなるため、業務の優先順位や分担の工夫が不可欠です。

特に午前中や週明けに集中しやすいため、時間帯ごとの人員配置や在庫管理にも注意が求められます。日常業務を効率化するためのマニュアル整備や予測ベースの準備も、繁忙期対策のひとつです。

体調不良による欠勤が増える時期でもあるため、シフト調整やフォロー体制の強化も欠かせません。

月末や年末に集中する処方対応は

月末や年末になると、長期処方を求める患者が増加し、レセプト業務も重なることで、調剤業務がひっ迫する傾向があります。このタイミングでは処方内容が複雑になりやすく、ヒューマンエラーのリスクが高まるため、チェック体制の強化やWチェックの徹底が欠かせません。

また、年末年始を挟む前後には、薬の供給にも遅れが生じることがあるため、事前の発注や納品状況の確認も重要な業務のひとつになります。周囲との連携が取れているかどうかが、乗り越えるカギとなります。

計画的な有給取得の調整など、チームとしての働き方を見直すタイミングにもなります。

閑散期は業務改善のチャンスとは

患者対応が落ち着く時期には、日ごろ後回しにしがちな業務改善や情報共有に取り組むチャンスがあります。棚卸やマニュアルの見直し、教育資料の更新、職場内のカンファレンスなど、通常業務では手が回りにくいタスクに集中できることで、次の繁忙期に向けた体制を整えることができます。

また、スタッフ同士の情報交換やスキルアップの機会をつくることで、チームとしての一体感や課題意識も育まれます。閑散期を「止まる」時間にするのではなく、「備える」時間として活用することで、業務の質を底上げできます。

職場の雰囲気を見直したり、より働きやすい環境づくりに着手する余裕も得られる貴重な時期です。

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